「f-MRIについて」
【痛みのミカタアフターセミナー21】抜粋版 「f-MRIについて」
慢性痛に関する文献や書籍を読んでいると???となることも多いのです。
前回のセロトニンの「興奮性」「抑制性」の話もそうですが、例えば、ドーパミンシステムで重要な「側坐核」ですが、慢性疼痛患者の場合、f-MRIで脳画像を見ると、ある文献では側坐核の機能が低下していると書いてあるのに、他の文献では側坐核の機能が亢進していると書いてある???
どっちやねんって。
まずf-MRIについてですが、脳の構造を見るのではなく、脳の「機能」を見る方法ですが、神経細胞が活動する際には多くの『酸素』を必要としますので、活発に活動している神経細胞には酸素が結合した「酸化型ヘモグロビン」が多く集まり血流が増加するため、MRIの画像分析により、特定の信号(MR信号)が検出され、活動部位を検出するわけです。
と言っても検出、分析はとてもわずかな差で複雑のようです(画像では赤や黄色でわかりやすいんですけどね)
さて、ここで問題なのは、f-MRIは活性化している神経細胞を検出することはできますが、その細胞が興奮性のニューロンなのか、抑制性のニューロンなのかは画像上では区別できません。
ここが混乱する原因になるのです。
先ほどの側坐核の例でいうと、多くの書籍や文献では、慢性疼痛患者の側坐核は機能低下を起こしていると書いてあることが多いのですが、この場合の機能低下とは、中脳腹側被蓋野(VTA)からのドーパミン放出が少なることで側坐核にあるドーパミン受容体にドーパミンが結合しないので興奮できず機能低下を起こしているわけですが、一方、細胞の受容体は興奮性のみでなく、抑制性のニューロンも含有している場合も多いのです。
側坐核はストレス時に「扁桃体」「海馬」「前頭前野」から興奮性の入力(グルタミン酸)が入ります。
側坐核の抑制性のニューロン(GABA)が興奮することで、淡蒼球を抑制し、結果、VTAからのドーパミン放出を抑制させます。
この状態の時、側坐核のGABA含有ニューロンは機能亢進していると思われます。(このメカニズムは第3回で詳しくお伝えします)
同じ状態の時でも、どのニューロンのことを示しているのか文中で判断しなくてはいけないのです。
今回はなんだか難しい話になってしまいましたが、混乱しそうな内容でしたので、頭の片隅に置いておいてください。
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